ヴィーガン(ビーガン)で栄養失調になるリスクとは?補給する方法は?

野菜とフルーツがテーブルに乗っている 健康食

ライフスタイルの変化から、ヴィーガン(ビーガン)に興味を示す人が増えています。

ヴィーガン(ビーガン)は完全菜食主義者と呼ばれ、ベジタリアンよりも厳格な意味合いを持っています。

その主義は、本来は食生活だけにとどまりませんが、まずはダイエットや健康面からヴィーガンになるといった人も多いでしょう。

肉・魚だけではなく、玉子や乳製品も摂らないヴィーガンでは、栄養バランスがしっかりとれるのかも心配です。

この記事では、ヴィーガンに不足しがちになる栄養や、それを補う方法についてご紹介していきます。

ヴィーガンで不足する栄養素

ベジタリアンとの違い

ヴィーガン(ビーガン)に近いのが、ベジタリアンです。

ベジタリアンは主に宗教上の理由から、「生き物を殺生することで得られた食べ物を摂らない食生活」を送っています。

肉や魚は食べませんが、卵や乳製品は食べる人がほとんどです。

対するヴィーガン(ビーガン)は、動物性由来の食品を食べない・使わないことで「人間が動物を搾取することなく生きるべき」という主義になります。

実際家畜などの飼育によって発生する温室効果ガスは、全世界の人口がヴィーガン(ビーガン)になると70%も減少し、年間810万人が死亡せずに済み7000~1000億ドルの社会的負担が減少すると試算されています。

そのためヴィーガン(ビーガン)主義の人は、肉・魚のほか卵・はちみつ・ゼラチン・カツオで取った出汁なども食べません。

白砂糖も製造過程で”骨炭”と呼ばれる、牛や豚などの動物の骨を焼いて炭にしたものを使用するので摂取しません。

栄養失調にならないの?

ヴィーガン(ビーガン)は動物性の食品を取らず、植物性の食品だけを食べます。

そのため足りない栄養素が出てきて、栄養失調にならないのかと心配する人もいます。

答えはNOです。

ただし、気をつけるべき点はもちろんあります。

ほとんどの栄養素は植物性にしても摂ることはできますが、意識的にしないと不足してしまうものや特定の食品やサプリで補うものがあるからです。

ヴィーガン(ビーガン)の食事で不足してしまう栄養素には、以下のものがあります。

  • 鉄分
  • ビタミンA
  • カルシウム
  • 亜鉛
  • コリン
  • ヨウ素
  • ビタミンB12
  • オメガ3

これらの不足しがちな栄養素は、以下の食品を意識的に摂ることによって解消され、ヴィーガン(ビーガン)の栄養の偏りを防ぐことができます。

それぞれの栄養素の役割と対策

鉄分

役割

鉄分は赤血球を作ってくれる栄養素になります。

体内の鉄分が不足すると、貧血になりやすくなります。

特に女性は貧血になる頻度が高く、疲れやすくなったりする慢性疲労を引き起こします。

対策

鉄には、肉・魚などに含まれるヘム鉄と、植物性食品に含まれる非ヘム鉄の2種類があります。

非ヘム鉄は体内に吸収されにくいことがありますが、非ヘム鉄も1食当たり1種類摂取することで対策をとることができます。

【鉄分を多く含む食品】

  • 豆類
  • ナッツ
  • シード
  • シリアル(鉄が強化されたもの)
  • 豆腐
  • テンペ
  • 濃い緑色の葉物野菜
  • ドライフルーツ
  • 乾燥スパイス

ビタミンC(フルーツ・フルーツジュース・赤パプリカ・ブロッコリー)と一緒に食べると、鉄分は体に吸収されやすくなるのでおすすめです。

ビタミンA

役割

ビタミンAは目の健康を維持したり、皮膚や粘膜の健康を維持したりするのに重要な栄養素です。

ビタミンAno主要な供給源は、卵や油の多い魚やヨーグルトです。

ヴィーガン(ビーガン)の食事では食べられない食材になりますので、ビタミンA不足による肌荒れなどを引き起こす可能性があります。

対策

ベータカロチンが豊富な食材を、積極的に摂りましょう。

ベータカロチンは、体内でビタミンAに変換されるからです。

おすすめの食材は、以下になります。

  • ニンジンやサツマイモなど、オレンジ色の野菜
  • パプリカなどの赤い野菜
  • マンゴー・パパイヤ・アプリコットなどの黄色いフルーツ

カルシウム

役割

カルシウムは丈夫で健康な骨を作るのに必要な栄養素です。

カルシウムが不足すると、骨や歯が弱くなってしまいます。

不足している状態が長く続くと、骨密度が低下し、特に閉経後の女性では骨粗しょう症が起こりやすくなります。

対策

カルシウムの優秀な食品群に乳製品が挙げられますが、ヴィーガン(ビーガン)の食事では乳製品を摂ることができません。

代わりになるカルシウム豊富な野菜や食品は、以下になります。

  • ケール
  • アーモンド
  • オレンジ
  • ひよこ豆
  • 赤インゲン豆
  • タヒニ
  • プラントベースのミルク(カルシウム強化のもの)

亜鉛

役割

亜鉛が不足すると、抜け毛が増えたり肌トラブルが気になったり、味覚に異常を感じたり下痢などの症状でお腹の調子が悪くなったりします。

亜鉛を一番多く含むのは、ヴィーガン(ビーガン)が食べることができない、肉・貝・乳製品になります。

対策

植物性食品の中で亜鉛を多く含んでいる食材は、シードです。

そのままでも食材としても使用でき、栄養補給に一役買ってくれるので、シードはストックしておきたい食材です。

その他も含めて、亜鉛を多く含む食材をご紹介します。

  • シード
  • オーツ
  • 濃い緑色の葉物野菜
  • レンズ豆
  • 豆腐
  • アボカド

コリン

役割

コリンは、体内で神経伝達物質のアセチルコリンの原料となります。

神経系の健康には欠かせない栄養素です。

さらにコリンが欠乏すると、肝機能の低下や脂肪肝を招くことでも知られています。

コリンは肝臓で少量しか産生できないため、食事で摂取することが必要です。

対策

コリンは、アブラナ科の野菜に多く含まれています。

ヴィーガン(ビーガン)の食事にはぴったりの食材です。

  • ケール
  • カーボロネロ
  • ブロッコリー

ヨウ素

役割

ヨウ素は、正常な甲状腺機能・成長・代謝に必要不可欠な栄養素です。

過剰な摂取は甲状腺機能障害につながる危険性もあるので、適度な摂取が必要です。

対策

海藻には要素が豊富に含まれています。

週一回を目安に食事に取り入れると、バランスよく摂取することができます。

ビタミンB12

役割

ビタミンB12は、体内で血液が作られる際に重要な役割を果たしている栄養素です。

不足すると、貧血やうつ病などになってしまう危険性があると言われています。

ビタミンB12は、一般的に動物性の食品にしか含まれていない栄養素と言われています。

対策

ヴィーガン(ビーガン)がビタミンB12を摂取するには、サプリメントを通して摂取することが必要です。

そのほかにも代替ミルクなどで摂取することも有効です。

  • 植物性の代替ミルク(ビタミンB12強化のもの)
  • ニュートリショナル・イースト

オメガ3

役割

オメガ3は、食品から摂取できるヘルシーな志望です。

不眠や乾燥肌・心臓病のリスクを減らし、さらに体内の炎症を減らしてくれます。

脂の乗った魚に多く含まれるEPAやDHAに多く含まれます。

対策

オメガ3不足は、下記の食材に加えサプリメントで不足分を補うことが大切です。

  • 濃い緑色の葉物野菜
  • シード
  • シードオイル
  • キヌア
  • ナッツ

まとめ

ヴィーガン(ビーガン)の食事では、動物性の食品は一切食べないため、どうしても不足する栄養素が出てきます。

かといってヴィーガン(ビーガン)の食事で栄養不足になったり不健康になるというのは、尚早です。

今回紹介したような代替の食品やサプリなどで足りなくなりがちな栄養素の不足分を補い、健康的にヴィーガン(ビーガン)の食事を実践することが必要です。

また、無理なダイエットなどを目的とせず、体調に変化が現れたら医師の診断を仰ぐなど専門家のアドバイスも積極的に取り入れましょう。

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